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ぶしをえびすということのこう
武士を夷ということの考
喜田 貞吉
「歴史地理 第二六巻第四号、第六号」1915(大正4)年10月、12月、「歴史地理 第二七巻第一号」1916(大正5)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,305 字 · 34 页
とあるなど、その例、枚挙にいとまあらざるなり。また、兼好法師の『徒然草』に、
人毎に我身にうとき事をのみぞ好める。法師は兵の道をたて、夷は弓引くすべ知らず。仏法知りたる気色し、連歌し、管絃をたしなみあへり。
とある夷は、明かに一般の武士を指すなり。また同じ書に、
心なしと見ゆるものも、よき一言は言ふものなり。或る荒夷の恐ろしげなるが、かたへに逢ひて、御子おはすやと問ひしに、一人も持ち侍らずと答へしかば、さては物のあはれは知り給はじ。情なき御心にぞ物し給ふらんと、いとおそろし。子故にこそ、万の物のあはれは思ひ知らるれと言ひたりし。さもありぬべきことなり。
とある荒夷も、物のあわれを知らぬげに見ゆる武骨一遍の勇士のことを言いたるものなり。
これらはいずれも都人より関東武士を指せるものなれども、関東武士自身また、他より然か言わるることを覚り、時としてみずからこれを口にすることあり。『貞永式目』に関して北条泰時より六波羅探題に遣わせる「消息」に、
所詮従者は主に忠を致し、子は親に孝あり、妻は夫に従はば、人の心の曲れるをば捨て、直きをば賞めて、自ら土民安堵のはかりことにや候とて、斯様に沙汰候を、京辺には、定めて物も知らぬ夷どもの書き集めたることとて、笑はるる方も候はんずらん。