轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぶけわらじ
武家草鞋
山本 周五郎
「松風の門」操書房、1948(昭和23)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,835 字 · 35 页
それが伝三郎に生き直そうという力を与えたのである。
こうして仕事を始めたのだが、とにかく始めてみれば興味もおこってくるし、なによりよいことは、仕事に熱中しているあいだはなにもかも忘れていられることだった、新庄のことも、世間の卑俗さも、人間の陋劣さも、……草鞋を作っているあいだは忘れていられる、かれは熱心に、幾らかは楽しさも味わいながら、せっせと仕事を続けていった。
「ご精がでますな」老人はときどき覗きに来ては云った、「あまり一時に詰めてなさると根がきれは致しませんか、茶がはいりましたから少しお休みなさいまし」
「暫く手がけなかったので思うようにはかがいきません、こんな仕事でもやはり続けてやらぬといけないものです」
「さよう、草鞋を作るくらいのことでもな」
老人のこわねはなにかを暗示するもののようだった、かれはふと眼をあげた、しかし老人はいつもの穏やかな表情で、僅かに微笑しているだけだった。
かれは二俣にある問屋へもでかけていった。二俣は野部からゆく道と東海道の見附の駅から来る道とが合する所で、旅宿もあり商家もあってかなり繁昌な町を成している。問屋はその町筋の中央にあった。