轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どくぐさ

毒草

江戸川 乱歩

「探偵文藝」奎運社、1926(大正15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,692 字 · 10 页

青空文庫

それを聞いて、子福者のはらみ女は、そもそも何を考えるのが自然であるか。その子供を産む為には、苦しい中から幾干かの費用を支出しなければならぬ。もう老境に近い年で、生れた子供を懐に、三歳の子を背中に、そうして洗濯をし、炊事を働かねばならぬ。今でさえ毎晩極った様に怒鳴り散らす亭主は、余計に怒鳴る様になるだろう。五歳の娘は、ますますヒステリイをひどくするだろう。それらの数々の苦痛が、たった一本の名もない植物によって、少しの危険もなく除かれるとしたら。……彼女はそんな風に考えないであろうか。

何が怖いのだ。お前は産児制限論者ではなかったのか。あの女房がお前の教えに従って、不用な一人の命を、暗から暗へ葬ったとて、それがどうして罪悪になるのだ。私は理窟ではそんな風に考えることが出来た。併し、理窟で、この身震いがどう止まるものぞ。私はただ、恐しい殺人罪でも犯した様に、無性に怖いのであった。

何だかじっとしていては悪い様な気がして、私は家の中をソワソワと歩き廻った。二階へ上って、あの広っぱの見える縁側から、薄暗い丘の辺をすかして見たり、その時、郵便脚夫の女房はもうそこには居なかった。