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みずがめ
水甕
豊島 与志雄
――近代説話――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,082 字 · 26 页
彼女の大柄な体格、なんだか幅の広い顔、細い眼付などが、善良を通りこした愚昧さに見えました。
俺なら、せめて一日か二日、クマを監禁しておくんだったと、彼は胸の中で言いました。
そして実際、彼はクマに対して、奇怪な監禁の方法を考えました。
クマが再度失踪してから、また十日ばかりたった頃でした。もう朝夕は仄かに秋の気が感ぜられるような季節で、東京ではあちこちに、復興祭と神社の祭礼とを兼ねた祝いごとが催されていました。神輿がかつぎ出され、神楽と手踊と歌謡と手品とがごっちゃに行われ、後ればせの盆踊まで始められました。しかもそれが丁度、政府の方からの一般物価統制の強化の時期で、商店街復興の先駆をなす屋台店や露店が、多くは屏息してる時のことでした。
その夜、仁木はちと腹の虫の居所がわるかったようでした。会社で、或る種の在庫製品のことについて、主任の江川と意見がくい違い、解決は明日のことにしようとごまかされてしまった、その故もありましたろう。けれど直接には、屋台の飲屋の雰囲気の故だったでしょう。
だいたい、この復興祭なるものが仁木の気に入りませんでした。そこには、真の復興を志す気魄などはみじんもなく、戦争がすんでほっとした気持ちの、それも終戦後一年余りたった後のその名残りの、頽廃的なものがあるばかりで、ささやかながら露命