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えいきゅうへいわのせんけつもんだい
永久平和の先決問題
大隈 重信
「大觀 第二卷第一號」大觀社、1919(大正8)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,090 字 · 22 页
不嗜殺人者一之
独逸はその汎独主義の手先に土耳古人をまで使役して豺狼飽く無きの大欲を遂げんと欲し、譎詐百端至らざる無かった。彼は時には根も葉も無き黄禍論をまで世界に流布して、新興国の我が日本をばその勢力未だ大いに張らざるの時にこれを暴圧せんと欲した。その為すところは宛然かの戦国策士の亜流であった。しかしながら今はた如何、空華の一現でその勢力は夢痕の尋ぬべからざるが如きものと為り了った。即ちかくの如く最後の勝利の王道に在るは、これ天の吾人に教えて偽らざるものである。
不嗜殺人者一之
支那に於ても、その春秋戦国時代の末に賢人、孟子が現れた。この孟子は孔子の孫子思の門人に業を受けたというから、孔子とは頗る時代を隔てているけれども、思想の径路は両者全く揆を一にした。この孟子の書の開巻第一には梁恵王との問答が収録されているが、その中に「天下悪にか定まらん」という恵王の問がある。孟子はそれに答えて「一に定まらん」という。恵王は打返して「孰か能くこれを一にする」と問うた時に、孟子は「人を殺すを嗜まざるもの能くこれを一にせん」といった。問の漠然たるが如くに答もまた漠然たるを失わぬけれども、而かも漠然たる大掴みの語の中に※然として滓すべからざる真理が存する。