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えいきゅうへいわのせんけつもんだい
永久平和の先決問題
大隈 重信
「大觀 第二卷第一號」大觀社、1919(大正8)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,090 字 · 22 页
二個の先決問題
二個の先決問題
そこで我輩は思う。来るべき平和会議に上る個々の条項について論ずるならば、それは頗る数多き事と考えるけれども、ここに先決問題というはやや大業ながら、なかんずく最も重要にして、この際最も明快なる鉄案を必要とするものは、民族的僻見、並びに関税競争の緩和との二つであると。何となれば国際間の争乱の酵母は、常にこの二者の中に於て培養されるからである。
かく言えばとて、我輩は必ずしもかかる争乱の禍因と見らるべきものをこの際性急に、一挙に根絶し尽せとは言わぬ。何となれば民族自決というが如きは如何に合理の事なりとするも、これを全世界に亙って果して今日断行するまでに列強は猛進する覚悟を持っているか。関係するところの範囲の広汎なるだけ、幾多の大なる困難が伴う。それ故このたび平和会議に付せらるべきものには自然の限定あり、まず直接にこの大戦の係争地点たる欧州内だけの処分、例えばポーランドとか、チェックスロヴァックとか、フィンランドとか、アルサス・ローレンもしくはボスニア・ヘルツェゴヴィナとか、墺匈国、巴爾幹諸州その他に於て、欧羅巴には雑然たる多くの民族を一の国家に支配するところが多く、それらの諸民族が漸次に独立し始めて来ているから、何としてもそれらの処分を要する。