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えいきゅうへいわのせんけつもんだい

永久平和の先決問題

大隈 重信

「大觀 第二卷第一號」大觀社、1919(大正8)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,090 字 · 22 页

青空文庫

彼は恵王の「孰か能くこれに与する」との重ねての問に対して、「天下与せざる無し」と答え、更に「如し人を殺すを嗜まざる者有らば、天下の民皆領を引いてこれを望まん、誠にかくの如くんば民のこれに帰する由ほ水の下きに就くが如し、沛然として誰か能くこれを禦がん」と答えているが、孟子のこの言を進めた当時はもはや戦国も季世に属し、五覇七国雄強を競うて生民堵に安んぜざる事、四百年。怨嗟の声天下に満ちていた頃であったから、もはや悔改めの期熟せりと見たものであったろう。人を殺すを嗜まずとは、これを今日の語に換言すれば即ち人道である、正義である。正義、人道の帰するところはすべてこれ天命の帰するところ、国家はこれに因って統一されるに相違ない。これが孟子の理想であった。これを具体的に語るならば別に策有るべきであったけれども、それを孟子は明示せなかった。ただこの理想のみについて語るならば、時の古今に従ってなんらの変化有るべきで無く、今日といえどもこの正義人道に頼るに非ずんば、決してこの世に永遠の平和を冀求すべからざるものである。然らば如何にしてこの理想を実現せんか。この問に応じて今ここに現われたものは、即ちいわゆる国際連盟並びに民族自決という問題である。