轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页

青空文庫

そして気絶をしたのであった。

私の意識が次第次第に恢復するように思われた。一人の老人が私の前に蝋燭を持って立っている――しかし恐らく幻覚であろう――その老人を囲繞して宝石が無数に輝いている。黄金の兜、黄金の鎧、蝋燭の光に照らされて天上の虹が落ちたかのように燦々奕々と光を放し香の匂いさえ漂っている。

「何んという美しい幻覚であろう」

私は半分正気付いてこう口の中で呟いた。

「なんという立派な老人であろう――岩窟に住んでいる動物学者のあの老人にそっくりだ……幻覚よ、永く消えないでくれ」

私はまたも呟きながら体を起こそうともがくのであった。

気高い老人が重々しく髯だらけの口を動かした。

「気が付いたかな、張教仁!」

私は辛うじて返辞をした。

「あなたはどなたでございます?」

「わしは岩窟の老人じゃ」

「動物学者のご老人?」

「そうだ。そうして人猿国の国王と云ってもよいだろう」

私は四辺を見廻した。何も彼も尊げに光っている向こうの隅には黄金の板、櫃の上には波斯絨毯。黄金で全身をちりばめられた等身大の仏の像はむきだしに壁に立てかけてある。その仏像の左右の眼には金剛石が嵌められてあって蝋燭の光に反射して菫色の光を澪している。