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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页

青空文庫

沙漠の地下にこんなに大きい、こんなに賑やかな古代都市が、そっくりそのまま建っていて歴史上既に亡びている回鶻人が生きていて元気に働いていようとは、何という文明の驚異だろう。驚異ではあるが夢ではない。私達三人はその都会で市民達によって、今、現在、未曽有の歓迎を受けている。ああその都会の美しさ――それは現代の美ではない。それは天国の美しさだ――ああその都会の不思議さは文字や言葉ではあらわせない。そしてついに我々は水晶の球にからまっている巨財についての不思議な謎をいとも容易に解くことが出来た。市民達が教えてくれたのだ。吾らはその富を獲るために近日地下の都会を出て南の方へ行こうと思う。新しい船の用意も出来、新しい手帳の準備も出来た。もうこの古い獣皮の船、もうこの穢れた備忘録、私には不用のものとなった。地下水道を逆流するロブノール湖の水に託して沙漠にいる人々へ送ろうと思う。博言博士にラシイヌ閣下、ダンチョン君にレザール氏、さようならさようなら!

不思議と暖かい日であった。そのくせ空は曇っている。そしてそよとの風もない。探検隊の一行は沙漠にいる必要がなくなったので、出発の準備にとりかかった。