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ほうそうやわ
法窓夜話
穂積 陳重
02 法窓夜話
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,325 字 · 264 页
中の記事を引用して、自説の支証とするつもりであったが、これもまた舶来説と思われたと見える。
これらの事は、我邦の学問は古来外国から輪入せられたもので、漢学時代においては支那の学者は特別にえらいものと思い、支那の故事を知り支那の学説を知るのが即ち学問であると考え、西洋の学問が渡ってからはまだ日も浅く、新学問においては彼は先進者であるから、万事彼の説に拠り、彼の説に倣うという有様であった結果に過ぎないのである。故に新学問の初期即ち明治二十年代位に至るまでは、西洋人の説とさえいえば、無暗にこれを有難がったものであった。例えば伊藤公が憲法取調のために洋行し、スタイン博士に諮詢された以後数年間は、スタインが流行者で、同氏の説だと言えば当時の老大官連は直ちに感服したものであった。当時の川柳に「スタイン(石)で固い頭を敲き破り」というのがあった。舶来品といえば信用がある時代は、学問界においては残念ながらまだ全く脱してはいない。
我輩の友人に時計製作の大工場を持っている人がある。その工場で出来る時計は頗る精巧な物で、いわゆる舶来品に劣らぬものであるが、その製造品には社名が記し付けてない。