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ほうそうやわ

法窓夜話

穂積 陳重

02 法窓夜話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,325 字 · 264 页

青空文庫

三七 処分可レ依二腕力一

しかるに、アフラニア(Afrania)という女子弁護人に、何か醜行があったために、忽ち女性弁護士禁止の説を惹き起し、遂にテオドシウス帝(Theodosius)をして、その法典中に禁令を加えしむるに至った。この論法をもって推すならば、男子にも弁護士業を禁ずることにせねばなるまい。

三七 処分可レ依二腕力一

「古事談」に次の如き一奇話が載せてある。

覚融僧正臨終の時に、弟子共が、遺財の処分を定め置きくれよと、頻りに迫った。僧正は一代の高徳、今や涅槃の境に入って、復た世塵の来り触るるを許さないのであるが、余りにうるさく勧められるので、遂に筆硯を命じて一書を作り、これを衆弟子に授けて後ち入寂した。衆弟子、その遺書に基づいて分配をなさんものと、打寄ってこれを開き見れば、定めて数箇条の定め書と思いの外、

処分可レ依二腕力一

の六字を見るのみであった。衆僧これには大いに閉口し、まさかに掴み合いをする訳にも往かぬと、互に円い頭を悩しているとのことが、白河法皇の叡聞に達し、遂に勅裁をもって分配法を定められたということである。

この話は、けだし僧正が衆弟子の出家たる本分を忘れて、貨財の末に齷齪たるを憫んで、いささか頂門の一針を加えられたものであろう。