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ほうそうやわ
法窓夜話
穂積 陳重
02 法窓夜話
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,325 字 · 264 页
一一 ドラコーの血法
の刑を定むるの不当なる所以を論弁し、量刑に軽重長短の範囲を設くべき旨を主張せられたという事である。伯のこの議論は、当時極端なる急進説と認められたので、明治六年発布の「改定律例」にも採用せられなかったが、爾来十年を経たる後、明治十三年発布の刑法に至って、漸く採用せられたのである。
一一 ドラコーの血法
ドラコーはアテネの上古に酷法の名高き「血法」を制定した人である。この法律は、実に紀元前六二一年、彼が執政官の職に在ったときに制定せられたものである。ただしバニャトー(Bagnato)らの説によれば、右の酷法は、決してドラコーの創意に出たものではなく、その内容は、アテネ古来の慣習法としてドラコー以前に存在し、彼はただこれを成文法としてなしたるに過ぎないということである。
この説の当否はとにかく、ドラコーの法は実に驚くべき酷法であって、「血法」とは名づけ得て妙と言わざるを得ない。そしてその最も惨酷極まる点は、実に死刑の濫用にあるのである。叛逆殺人などの重罪を罰するに死刑をもってするさえ、現今では兎角の論もあるのに、ドラコーの法では、野に林檎の一二顆を盗み、畑に野菜の二三株を抜いた者までも、死刑に処する。