轻松读懂日语经典作品
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なみあらくとも
波荒くとも
小川 未明
「小学五年生」1939(昭和14)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,368 字 · 11 页
この少年は去年の秋、田舎から叔父さんを頼って上京しました。そして、ある製菓工場へ雇われてから、まだ間がなかったのです。今朝も取次店へ品物をとどけるために出かけたのでした。二、三日前からかぜぎみで寒けがしていたのですけれど、すこしぐらいの病気では仕事を休むことができません。彼は、無理をして自転車を走らせたのです。すると、冷水を浴びるように、悪寒が背筋を流れて、手足までぶるぶるとふるえました。
「こんな病気に、負けてなるものか。」
彼は、歯噛みをしました。いくら力を入れても、力の入らない足をもどかしがりました。すると、今度は体が火のように熱くなって、耳が、ガンガンと鳴り、目の中までかっかとしてきました。これはかなわぬと思ううちに、足が重くなって、もう一歩も前へふみ出せなくなってしまったのです。それから後のことは、すこしもわかりませんでした。
「雪のあるのは、ここだけだ。村の往来へ出れば、人通りがあるし、歩くのが楽になるからがまんをしろよ。さあ、私の後についてくるだ。」
重い荷を背負って、先に立って母親が歩きました。少年は後からついていきます。母親の負っている行李には、少年の着物や、いろいろのものが入っていました。