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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
それでも兵員がついているところはあらまし消し終え、大事なところだけは、ほぼ闇の中につつまれた。
この報告は直ちにリット少将のところへもたらされた。少将はさすがに英海軍の猛将だけに狼狽の色も見せず、昼間と同じくきちんと服装をととのえ、「鋼鉄の宮殿」の階上を占める司令塔から、じっと外の様子を眺めていた。
無線室の怪
「リット団長閣下、飛行島の主要部は、すっかり灯火管制下にあります」
と、担任士官が報告をすると、少将はにこりともせず、窓の外を指さし、
「あれが完全管制だとは、なんという情ないことだ」と、檣の上などにまだ消しのこされた灯火を指さした。
「わしは目が見えないことはないぞ。いいから配電盤のところで、電灯線へ流れこむ電流は全部切ってしまえ」
「はっ、だが、それは危険であります。閣下」
と担任士官は、顔色をかえてリット少将の言葉をさえぎった。
「なんじゃ、危険じゃと? 一たいなにが危険なのじゃ」
リット少将はけわしくいいかえした。
「つまりその、そうやれば灯火管制の方は完全でありましょうが、要所要所を固めている者達の活動が出来なくなるばかりでなく、悪性の労働者が、暗闇を幸い、どんな悪いことをはじめるかわかりません。