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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
「すると、今の曲者は、一たい何者だ。あの川上とか杉田とかいう日本軍人はうまく捕まったというじゃないか」
「あのほかに、まだ日本人スパイがはいりこんだのだな」
「そんな筈はないよ。ここで働いている奴は、国籍を厳重に洗ってある筈だ。――それにしても変だね。おお、誰か早くいって、団長閣下へ報告をしてこい」
突如、怪人物現る。無線室を狙ったゴルドン兵曹とは一たい何者か。
これぞ余人でない。われ等の川上機関大尉が、ふたたび姿をあらわしたのであった。
杉田二等水兵が信じた如く、機関大尉は果して生きていたのだ。そうして飛行島の耳ともいうべき、通信連絡の大元である無線室を襲撃したのだ。
無線室襲撃には失敗したけれども、今や祖国のために何か大仕事を企てつつあることは、疑う余地はない。
それにしても、死んだ筈の機関大尉が、どうして生きていたのだろう。
実に不思議だ。不思議だが事実である。
これは諸君の最も知りたいところであろうが、その前に私は、まず飛行島の各所に起った奇々怪々の事件を紹介しなければならない。
決死の偵察
「ああ、ひどい目にあわせやがった」
と、倉庫係の事務員でケリーというのが、暗がりの中を、しきりに自分の頬をさすりながら、仲間の溜り場所へ帰ってきた。