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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
一方飛行島上の怪しい火事騒ぎは、ともかくもおさまった。高射砲弾の炸裂する数も、なんだかすくなくなってきた。なぜか日本機は、光弾を落したきりで、ほかに一発の爆弾も落さなかったのだ。
一所に釘づけされたようになっていた照空灯が、右に左に活溌に首をふりうごかしはじめた。監視中の日本機はどこへ行ったか、急に姿を隠してしまったのである。
怪しき記号
日本機の姿が見えなくなってしまうと、飛行島の人々は、ほっと息をついて、おたがいの顔を見合わせた。
「あれはやはり日本の飛行機だったのかなあ」
「もちろん、日本の飛行機でなければ、どこの国の飛行機があんな風に大胆にやってくるものか」
「そうだ、やっぱり日本の飛行機だよ。あのとき、怪しい男が無線室を襲ったり、それから数箇所に火の手があがったりしたではないか。この飛行島に日本のスパイが忍びこんでいて、あの飛行機と何か連絡があったのではないだろうか」
全くそのとおりであった。無線室を襲って失敗したのも川上機関大尉であったし、最上甲板に油を流して火をつけたのもまた川上機関大尉の仕業だったのだ。
川上機関大尉は、空襲と聞くより早く、油類倉庫に忍びこみ、石油の入った缶とペンキの缶を持ちだしていたのだ。