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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

といった。ベッドの上の杉田二等水兵は、あっといったきり眼を皿のようにして怪中国人の顔をみつめたのも尤もであった。

この怪しい硝子屋の正体は、そもなに者であろう――いうまでもなく、さきに梨花としめし合わせておいたわれ等の勇士川上機関大尉の巧みな変装であったのだ。

「おお、あなたは。――」

とベッドの上におきあがろうとする感激の杉田二等水兵!

川上機関大尉は、それを制して、硝子板をそこへおくと、いそいで杉田の枕辺にかけよった。

梨花はけなげにも、扉の外に立って、見張にあたる。窓硝子は、彼女があやまって壊したのではなく、これぞ川上機関大尉のいいつけによってわざと壊したのであった。

再会

「ああ上官!」

と杉田は胸がせまってあとはいえない。

川上機関大尉は部下の手をぐっと握って、

「杉田、よく辛抱していたな。それでこそ、真の日本男児だ。銃剣をとって、敵陣地におどりこむばかりが勇士ではない。報国の大事業のため、しのぶべからざる恥をしのび、苦痛にこらえているお前も、また立派な勇士だ。しかし梨花にきけば、お前はこのごろ食事もあまりとらぬということじゃないか。そんなことをして体を弱らせておいては、いざという時に思いきった働きができないではないか」