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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

「綱条につかまって上るなんて、そんなことができてたまるか」

「でも、嘘じゃありません。ほら、彼奴等がやってきました。足音がします。あそこをごらんなさい」

その言葉のしたに、エンジンの奥から、うわーっととびだしてきたのは、印度人の一団であった。奥が暗いので、まるでシャツとズボンが攻めよせてきたように見える。

「あ、とうとうやってきたな」

先頭の印度人は、監守をなぐり殺したらしい血染の鉄棒をふりかぶって、フランク大尉に肉薄する。

「仇敵、英国人め。圧政にくるしむわが印度同胞のうらみを知れ!」

「な、なにを――」

だーん!

フランクはついにピストルの引金をひいた。

印度人の魂ぎる悲鳴――空をつかんで、鉄板の上に倒れた。

「あ、仲間を殺したな。それ」

残りの印度人は、鬨の声をあげて、うわーっととびだしてくる。

だーん、だーん。

フランク大尉は、電灯の光に見える敵を夢中で射撃する。

飛道具をもたぬ印度人は、かわいそうなほど、ばたばた倒れる。気の毒にも、みんなフランク大尉の弾の犠牲になるかと思われた。そのとき――

がちゃーん。

電灯が消えた。誰か電灯にスパンナーをなげつけた者がある。