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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
彼はやがて川上機関大尉の荷物をうけとった広珍料理店前にやって来た。
そこで、彼はしばらくためらった後、思い切って店内へ足を踏みこんだ。
広珍料理店
飛行島に泳ぎついた杉田二等水兵は、その足ですぐ共楽街の広珍料理店にとびこんだ。
昨日、機関大尉の荷物を受取ったあの料理店である。
この杉田二等水兵の姿というのがたいへんだった。腰から下に白ズボンをはいたきり、そして胴中から上はなに一つまとっていない赤裸だった。しかし潮風にやけた体は赤銅色で、肩から二の腕へかけて隆々たる筋肉がもりあがっているという、見るからにたくましい体格であった。
このとき、店内には、客は一人もおらず、白い詰襟の上下服を着た中国人ボーイが五六名、団扇をつかって睡そうな顔をしているところだった。そこへ杉田二等水兵がぬっと入ってきたものだから、一同はびっくりして、玩具の人形のように椅子からとびあがった。しかし杉田の半裸体姿を見ると、なあんだという顔をして、又椅子につき団扇をぱたりぱたり。
「おい、ちょっとたずねるが、昨日俺がここへ来たことを覚えているだろうね」
と、杉田二等水兵は、おもいきり大きな声で叫んだ。