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しんやのきゃく
深夜の客
大倉 燁子
「モダン日本 九巻一三号」1938(昭和13)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,926 字 · 28 页
彼はいつでも淋しく校庭の隅っこに小さくなっていたのです。それを気の毒に思ったのか、上級生の中で一人、大変親切に世話をしくれる人がありました。間もなく二人は兄弟のように仲好くなりました」と云いながら、彼はマッチをすって、バットに火をつけ、
「友人というものを始めて持った譲治は実に有頂天でした。何でもかでも親友に打ち開けて相談する、という風でした。何年か経つうちに宣教師は亡くなり、その遺言によって、莫大な遺産が彼の懐中に転がり込みました」
「西洋人にはよくそういうことがありますのねえ」
「宣教師が亡くなってみると、大きな家に一人でいるのも淋しいからと云って、親友は知り合いのある未亡人の家を紹介してくれました。譲治は家族同様の待遇という約束でその家に移ることになったのです。そこから通学を始め、親友は始終訪ねて来て何かと世話をやいてくれました。末亡人には冬子という大変美しい娘があって、譲治はその娘に熱烈な恋をささやくようになりました。親友はそれを聞いて苦い顔をし、度々忠告したものです。冬子は不良だから断念めろ、将来ある君の妻にあんな女は相応しくないよ、第一貧乏人の娘じゃないか、などと云って、ひどくけなしていました。