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しんやのきゃく
深夜の客
大倉 燁子
「モダン日本 九巻一三号」1938(昭和13)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,926 字 · 28 页
義賊の訪問
手紙は参考として押収され、美和子はその場から連行された。
義賊の訪問
有松は死を予知していたか、あるいは何事か危険の身に迫るのを感じて、洋子へ電話をかけたものではなかったろうか、もう一汽車早く乗れば、その危険から逃がれ得たかも分らないのに、と彼女は残念に思った。
終列車に乗り込んだ洋子は疲れきっていたが、妙に眼が冴えて、居眠りする気にもなれなかった。
帰宅すると客が応接室に待っていた、彼女は用談をすませ、玄関へ送り出したのは、もうかれこれ一時近かった。
あと片づけに来た女中には早く休むように云って、自分はたったひとり応接室に居残った。邪魔される事なしに、静かに独りで考えたかったからだ。
美和子の運命、それは余りにも惨しいものであった、彼女は胸が痛くなるような気持ちがした。――実父は母を殺して牢死し、いままた養父は非業の最後をとげている、稀れにみる美貌の孤児の背景はあたかも血をもって描かれたものであった。
夜は次第に更けてゆく。
洋子は身動きもしないで物思いに沈んでいた。瓦斯ストーヴの火が青く見える。
すると、庭を誰やら忍び歩いているような音がした。