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しんざんのあき
深山の秋
小川 未明
「真理」1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,725 字 · 10 页
」と、りすが、小さな頭を振りました。
「そんなことはない。」と、きつねは、人間の弁護をしました。
「じゃ、律義もののくまや、勇敢なおおかみが、人間を助けたことはあるが、人間は、どうだ、くまや、おおかみを見つけたが最後殺してしまうだろう。」と、やっきになって、りすがいい張りました。
すると、老いざるは、笑いながら、
「こんどは、人間ともお友だちになろうさ。」といいました。
「そういうさるさんだって、人間からは、さる智恵といって、けっして、よくはいわれていませんぜ。」と、りすがいうと、さすがのさるもきまりの悪そうな顔つきをしました。
「そんな話はどうだっていい。まあ、早くいってこよう。」と、きつねがいったので、りすは、一飛びに谷の方へ駆けていきました。
峠の上には、一軒の茶屋がありました。夏から秋にかけて、この嶮しい山道を歩いて、山を越して、他国へゆく旅人があったからですが、もう秋もふけたので、この数日間というものまったく人の影を見なかったのであります。
茶屋の主人は、家族のものをみんな山から下ろしてしまって、自分だけが残り、あとかたづけをしてから山をおりようとしていました。