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かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
ついそこまで出ているだが、どうも出て来ないのであった。彼はすこしジリジリとして来た。
そのとき彼は、大きな飾窓の前を通りかかった。そしてそこに並べてある時事写真の一つに眼を止めた。「逝ける一宮大将」とあって、太い四角な黒枠に入っている厳めしい正装の将軍の写真だった。その黒枠を見たとき、彼は電光の如く、さっきの奇妙な男の正体を掴んだのだった。
「うん、彼奴だッ。――」
そう叫んだ彼は、不思議にも、叫び終ると共に、なぜかサッと顔色を変えた。何故何故?
鼠谷仙四郎
「そうだ、彼奴だ。彼奴に違いない!」
螳螂男への古い記憶が電光のようにサッと脳裏に映じた。黒枠写真を見たときに、どうして彼奴のことを思い出したのであろうか。それはいわゆる第六感というものであろうが、不思議なこととて気になった。しかし後日になってその不思議が解ける日がやってきたとき、八十助は呼吸の止まるような驚愕を経験しなければならなかったのである。
「そうだ、彼奴は姿こそ変り果てているが、鼠谷仙四郎に違いない!」
鼠谷仙四郎――という名前を口のなかで繰返していると、八十助は小学校へ上ったばかりのあの物珍らしさに満ちた時代を思い出す。