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かそうこくふうけい

火葬国風景

海野 十三

「帝都日日新聞」1935(昭和10)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页

青空文庫

八十助の座席の隣では、二人の男が物静かな会話をつづけていたそれを聞くともなしに、彼は聴いた。

「……というわけでネ」と紋付羽織の男が言った。「どうも変なのだ一宮大将ともあろうものがサ、まさか株に手を出しやしまいし、死の直前に不動産を全部金に換え、しかもそいつを全部使途不明にしてしまい、遺族は生活費の外に一文も余裕がないというのだからネ」

「それに変だといえば、大将の急死がおかしい。いくらなんでも、あんなに早く逝くものかネ」

「僕は大将の邸で、変な男を見かけたことがある。肺病やみのカマキリみたいなヒョロ長く、そして足をひいている男さ。あいつが何か一役やっているに違いない」

「でもあいつは其後死んじゃったという話じゃないか……」

二人の話をここまで聴いていた八十助は、そこから先をもう聞くに堪えなかった。話題に上っているカマキリのような男というのは、あの鼠谷仙四郎のことに相違ない。この二人も彼奴が死んじまったといっているではないか。

八十助は何がしかの銀貨を卓子の上に置くと、酒場から飛び出したのだった。

幽霊男

酒場を出てみると、そこは賑かな夜店街の切れ目だった。