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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
隊長は、平船員のベッドにもぐりこんで、暗い灯火の下で、本を読んでいたが、とつぜん帰ってきた三人の顔を見て、たいへんよろこんだ。
「隊長、るす中なにかかわったことはありませんでしたかねえ」
と、一等運転手は、わざと何気なき体で、それを尋ねた。
「船のことかね、それとも、わしのことかね。どっちも大丈夫さ。心配するなよ」
と、破顔大笑したが、途中で、急に改まった調子になり、
「――そういえば、思い出した。さっき、丁度この真上の甲板あたりで、がたんと、大きな音がしたんだ。なにか、物をなげつけたような音だった。行ってみようと思ったが、生憎傍にはだれもいないし、そのままにしておいた。あれは何の音だったか、だれかいって、見てくるがいい」
「はあ、この真上の上甲板あたりでしたか。その音のしたのは?」
一等運転士の坂谷と、水夫竹見とが、一緒にそこをとびだした。
駈あがった二人は、甲板のうえを探しあるいた。
「あっ、これだ!」
一等運転士が叫んだ。
竹見が、かけつけてみると、一等運転士は、一挺の水兵ナイフをにぎっていた。
「おや、血が……」
竹見の心臓が、どきんと大きく波うった。