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はいかぐら
灰神楽
江戸川 乱歩
「大衆文藝」1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,262 字 · 27 页
ソラ、これを見給え」
庄太郎はそういうと、火箸を持って、グルグル灰の中をかき探していたが、やがて一つの汚れたボールをつまみ出した。
「これだよ。この鞠がどうして灰の中に隠れていたか。君は変だとは思わないかね」
それを見ると二郎は驚きの目を見張った。そして、彼の額には、少しばかり不安らしい色が浮んだ。
「変だね。どうしてそんな所へボールが入ったのだろう」
「変だろう。僕はさっきから一つの推理を組み立てて見たのだがね。兄さんの死んだ時、ここの障子はすっかり閉っていたかしら」
「いや、丁度この机の前の所が一枚開いてたよ」
「ではね、こういうことは云えないかしら、兄さんを殺した犯人――そんなものがあったと仮定すればだよ――その犯人の手が触れて鉄瓶の湯がこぼれたと見ることも出来るけれど、又もう一つは、そこの障子の外から何かが飛んで来て、この鉄瓶にぶっつかったと考えることも出来相だね。そして後の場合の方が何となく自然に見えやしないかい」
「じゃ、このボールが外から飛んで来たというのか」
「そうだよ。灰の中にボールが落ちていた以上、そう考える方が至当ではないだろうか。ところで、君はよく、この裏の広っぱで、鞠投げをやるね。