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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
これは、福の神が、向こうからころげこんできたぞ」
トラ十は、にわかに上きげんになった。そして箱を拳でたたきこわすと、中から、白い布をまいた長いものを取り出した。
「おれが、あけてやろう」
「これ、お前は動くな。動くと、これがものをいうぞ」
トラ十はゆだんをしない。彼は右手にピストルをもち、左手で、その布をほどいた。中からは包紙が出て来た。
「いやに、ていねいに巻いてあるなあ。よほど大事なものと見えるが、厄介千万じゃないか。おや、まだ、その下に別な紙で包んである。これはかなわんなあ」
トラ十はだんだんじれながら、何重もの包を、つぎつぎにほごしていった。そのうちに最後の油紙包がとかれて、中からチョコレート色の、五十センチばかりの棒がでて来た。それこそ、X塗料を固めたものであった。それを、ある特殊な油を使って溶かすと、X塗料となるのだった。
「おや、へんなものが出て来やがった」
とつぜん、帆村は猛然と飛びこんだ。塗料の棒に見入るトラ十のからだに、わずかの隙を見出したのであった。帆村の鉄拳が、小気味よく、トラ十の顎をガーンと打った。
「えーッ!」
「しまった。うーん」