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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
ピアノで立派に生活出来たのに。パリパリで、妙になってしまったのでしょう。こういう、文化の素朴な伝統の中から、ああいう底なしの壺にうちこまれると、キリキリまいをしているうちに、ズルズルと沈んでゆく。非常にそういう例は多うございますね。多様さや外面の豊富さに目がくらんで、ちっとも評価がないから。そのよりどころがないから。学んで来るには、先ず、何が学ぶべきものであるかを見きわめなければなりませんものね。
――○――
うちに雨もりがします。風呂場と四畳半。これはきっとうちで屋根やでも呼ばなければ改良されないかもしれない、もう二度も大家さんの屋根やが来たのですが、瓦を買わないのよ、だから不足の分があってそのままだから、いつも洩るのです。家賃をあげない。そのことをじっと腹にあるにちがいないから、きっとなかなか屋根や呼ばないでしょう。
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これから、一つの交友録をかきます。半島の人々との交友録。誰という人を中心としてかくことは出来ません。昔知っていた詩をかく龍済さんにしろ、今はどうなっているやら、あっちへかえるときから妙なこと云っていたから。