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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

きょう、大分エレン・ケイをよみました、初めて。明治四十年代の日本の知識婦人たちには影響を与えていた人という意味で。興味深くよみました、その混雑ぶりを。ケイは三十歳ぐらいのとき、あの有名な婦人数学者だったソーニャ・コ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)レフスカヤやその親友で彼女の伝をかいている婦人作家(彌生子訳)たちに死なれ、大分寂寥を感じた由。二十年も(一八八〇年以後)ストックホルムの民衆大学でスエデン文明史の講義をしていた由です。彼女がものを書きはじめたのは一九〇三年なのですね。それまでのドイツなどの婦人運動が単純に「男と同権」の女だけ考えて来たのにケイは男とはちがう婦人の権利を諒解しはじめたという点では、ヘヴロック・エリスの云っているとおり価値があるでしょう。トルストイの恋愛や結婚、女というものの性に対する考えかたとの対比においても或健全の要素をもっているけれども、それにしても「恋愛は婦人問題の核心に位する」というその位しかたが、どうも今日から見ると架空で、上の言葉と「大いなる恋愛は勿論、世間的な諸方面の知識を理解するについては子供らしい欠陥を曝露するであろうが、併し謎と問題とにみちた自身の領域に於ては神の如きエイ智であり聖紀の宝賜でありまた奇蹟を行うの力である」