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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
早いのね。いろんなひとが書くらしい様子です。ズラリと並べるのでしょう。例によって『文芸』のを月のうちにかいて、あと小説をかきます。私はどしどし小説をかきます。なるたけどっさりかきます。そして、小説の世界にひき入れられることで、人々が毎日生きているよりもっとひろくて深い人生へ導かれるようなそういう小説をかきたいと思います。小説の世界にだけとじこもっているような小説、私本当にきらいです。この頃、このきらいさが益※(二の字点、1-2-22)はげしくなって。そのためには益※(二の字点、1-2-22)小説が、文学のリアリティーとしてつよめられなければならないわけですから。人間精神のよさは道義というもの以上であるし。
只今もっている書きものはね、感想風のもの三つ(小さなもの)、若い女のひとのためのもの一つ、それから『文芸』20枚ほど、小説20枚ほど。きっと全体印刷に手間がかかるようになったから、十一月、十二月はたたまって来るのでしょう。
机の上に十七日に寿江子がもって来てくれた紅白のガーベラの花があり、茶の間のタンスの上には、原さんが家の近所からわざわざ切らせてくれたダリアの大きい見事な花が満々とあります。