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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
スープの味はいかがでしたか。どうか呉々もお大事に。わたしのために、どうかいいよいいよとおっしゃらないでね。東洋経済へのお金のこと間違なくいたしますから。では又、きょうのようなべとつく日、さぞあつい湯で体をおふきになりたいことでしょう。
九月八日 (消印)〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(青森林檎畠の写真絵はがき)〕
九月八日
ペンさんが青森へ行って、おみやげに林檎畑のえはがきを買って来てくれました。昔、「土」という映画があって、ウクライナの麦や果実がたわわに露にぬれているところを美しさきわまりなく芸術化したのがありました。それから見ればあまりつつましいけれども、それでもすがすがしさがあります。上林にもリンゴ畑の小さいのがありました。
九月八日 (消印)〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(西沢笛畝筆「十和田湖と三羽浦秋色」の絵はがき)〕
大町桂月が十和田を有名にしてから、アパート式のホテルが出来たりしているそうです。しかし自然はやはりなかなか雄大でみごとらしく、これは気の毒な地方の人が風雅と心得た絵で、笛畝は人形絵の専門家でしょう?
何とチンマリした十和田でしょう。