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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
01 一九三四年(昭和九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,990 字 · 30 页
藤島まきという作家も出ました。文学におけるリアリズムの問題が、はじめ妙な傾向をもってトリビアリズムと混同して出されたし「ナルプ」は二月解散になったし、今もってその点では問題がのこされている有様です。私はそういうことについても、其だけ切りはなして云々せず、例えば窪川鶴次郎の「風雲」という小説の批評や、横光利一の大評判になった「紋章」などにふれつつ作家としての仕事ぶり生活ぶりにふれた感想そのものの書きかた、現実の生活的な問題としての文学理論上の問題の捉え方そのもので、正常なリアリズムの発展的な方法を示してゆくよう努力しているし、そのために好評でもあると思われます。小説について一九三二年の春ごろよりは又一段腰がすわったから、これからはいくらか書けます。何か、ここ一年の間に、私は作家として大分様々のものを見ききし、感情を鍛錬され、一層深く強い確信の上に立って生活するようになったから、どうぞ悠々とたのしみに私の仕事ぶりを見て下さい。十一月二十日に朝日講堂で神近さんの婦人文芸主催の文芸講演会では私の話がよろこばれ、私としても、あんなに身をいれて、わかりやすく、文学といっても一般化して云うことは出来ぬこと、文学を作るものの社会生活が反映して来ることを様々の作品の例をとって話せたことはなかったと思います。