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げんだいのふじんにつぐ
現代の婦人に告ぐ
大隈 重信
「大觀 第一卷第四號」大觀社、1918(大正7)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,854 字 · 25 页
釈迦も迷えば、孔子も迷う、ソロモンも迷えば、マホメットも皆迷った。基督教国を以て誇る西洋諸国も、旧約時代までは全く迷っていたので、基督に至って初めて、千古の疑問に一大鉄案を下したのである。両性相愛するは、一切の生物間に共通の事実であるけれども、その婚姻には進化があって互いに等しきを得ぬ。即ち人間以外の動物に在っては、繁殖のみあって、それに秩序を与うる道なるものが存在しておらぬ。これあるは独り人間であるが、この人間もその蠢爾たる原始生活を営む時代には、あたかも野獣の如く雑婚を恣にしていたので、生るる小供に母は有るけれども父はない。従って母に対する孝はあっても、父に対する孝なるものは無く、兄弟姉妹があっても血が混淆して同異を弁じ難いから愛情も乏しく、生長すれば相離散するので、ほとんど家庭を為さぬ。それが進化して次には一夫多妻となり、婦人をば権力富力あるものの兼併に任せたが、本来天の人類を造るに、ほぼ男女の数をして相等しからしめて在るのだから、かくの如き一夫多妻の許されている時代には、他方に孤独を以て生涯を終らねばならぬ多数の男子を生ぜねばならぬ訳で、かくの如きは、吾人が平和なる共同生活を営むべきゆえんの道でない。