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いきぬくちから
生きぬく力
小川 未明
「新児童文化 第1冊」1940(昭和15)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,352 字 · 11 页
」と、蔭口をしているのを聞くと、
「先生がやさしいんだ。」と、孝二は腹立たしげに打ち消しました。
せみの声もしたし、運動場には、まだ烈しい日の光が照りつけていました。
「ドッジボールの金をもらうよ。」
校舎の日蔭のところに立って、東が、一人一人から金を受け取っていました。一人が、十銭以上の寄付をすれば、その金で求めたドッジボールの遊戯に加わることができるのでした。
「小泉くん、君持ってきたの。」と、孝二が、そばへ寄って問いました。小泉は頭を振りました。
「じゃ、僕のと二人分にしておくからね。」
孝二は、二十銭出そうと持ってきたのを、小泉と二人の分にして出しました。これで、小泉もこの遊戯に加わることができたのです。
ついこのあいだまで聞こえていた、あぶらぜみの声がしなくなったと思うと、秋がきました。そして、今日は、一同の待ちに待った遠足の日であります。
荒れ果てた寺の境内で、孝二は、独り松の根に腰を下ろして、茫然としていました。
「君、食べない。」と、ふいにキャラメルの箱をひざの上へ置いたものがあります。見上げると、小泉でした。
「どうして、こんなことをするんだい。