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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

「…………」

「が、それにしても内陣には、何があるのでございましょうかな?」

「…………」

「醍醐弦四郎に対しましても、伯父上にはこの土地を立ち去るようにと、厳命したようでございますな」

「でも、弦四郎様は申されましたそうで『こっそり内陣へ入り込もうとした、宮川氏を入れまいとして、あの晩私や私の部下で、宮川氏を遮りました。功こそあれ罪はないはずで。立ち去れとは不当でございましょうよ』と」

「ナーニ、そのくせ醍醐弦四郎めも、あの晩内陣へ入り込もうとして、洞窟の入り口まで行っていましたので。そこへ私が参りましたので、競争相手を斃すつもりで、この私へあのように、切ってかかったのでございますよ」

二人は尚も彷徨って行った。

と、一所から声々が聞こえた。

木立がそこだけ隙をなして、日光の射している丘があったが、そこに無数の業病人達がいて、話をし合っているのであった。

茅野雄と浪江とは隙かして見た。

顔に白布をかけている者、松葉杖を脇の下へかっている者、一本しかない一本の腕で、胸の辺りをガリガリと掻いている者、膝から両脚がもげているので、歩くことが出来ずに這い廻っている者、髪の毛が残らず抜けたために、老婆のように見える若い女、骨なしの子供、せむしの老人――いずれも人の世の惨苦者であったが、信仰を失ってはいないと見えて、その動作