轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

茅野雄は歩きながら思ったりした。

(どれ急いで家へ帰ろう)

こうして茅野雄が自宅へ帰って、下男の弥助に迎えられて、自分の部屋へ入った時に、一つの運命が待っていた。

飛脚が届けたという書面であった。

「夕方お飛脚が参りまして、この書面を置いて参りました」

これが弥助の言葉であった。

「ほほうどこから来たのであろう? 俺のところへ書面を届けるような、親しい遠方の知人などは、どうにも俺にはなかったはずだが」

呟きながらも宮川茅野雄は、文箱をあけて書面を出して、静かに文面へ眼を落とした。

「お懐かしき茅野雄様、妾は浪江でござります。あなたのたった一人きりの、従妹の浪江でござります。浪江があなた様へお願いいたします。妾の処へおいでくださいましと。妾の一家は五年前に、――あなた様が長崎へおいでになった時に、江戸を立ってこの地へ参りました。飛騨の国の高山城下から、十里ほど離れた山の奥の、丹生川平という寂しい土地へ。……父も母も無事でござります。でも性質は変わりました。敵を持つようになりました。で只今私達一族は、苦境にあるのでござります。どうぞどうぞおいでくださいまして、私達一族の味方となって、私達をお助けくださりませ。