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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
……妾は十八歳になりました。五年前にお別れをいたしました時には、妾は十四歳でございました。ほんとに子供でございました。でも今は娘でござります。……あの頃から妾はあなた様を、懐かしいお方に思っておりました。今も同じでござります。あなた様を懐かしく思っております」
こういう意味のことが書いてあった。
(そうそう俺には親戚として、叔父の一族があったっけ。俺が長崎へ行っていた留守に、消えたと云ってもいいほどに、行衛知れずになってしまったので、思い出しさえもしなかったが、無事にこの世にいると聞いては、ちょっとなつかしく思われる。――従妹の浪江は小さい時から、驚くばかりに美しかったが、もっと美しくなっていよう。いかにも二人は仲がよかった。逢って話をしてみたいものだ。……敵を持って苦境にあるという? これがいくらか気にかかるが、行って見たら様子が知れることであろう。……飛騨といえば随分山国だが、そんなことには驚かない。よしよし明日にも出かけることにしよう)
――こうして茅野雄は行くことに定めた。が、これを一面から見ると、巫女の占った運命の一つが、適中したという事になる。