轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

こういう場合の常識として、ふと茅野雄はこう思った。

(ともかくも行ってみることにしよう)

で、茅野雄は小走った。

と、その時丘を巡って、一人の女を小脇に抱えた、逞しい武士が現われたが、茅野雄の方へ走って来た。

弦四郎の心! 茅野雄の心!

と、見てとった宮川茅野雄は、立ち向かうように足を止めた。

と、女を小脇に抱えた、逞しい武士は走って来たが、腕前に自信があるがためか、傍若無人の心持からか、遮った茅野雄を無視するように、避けもせずに駆け抜けようとした。

「待て!」

「邪魔だ!」

「こ奴、悪漢!」

「よッ、貴殿は宮川氏か!」

「どなたでござるな?」

「醍醐弦四郎でござる!」

「これはいかにも醍醐氏であったか!」

いつぞや江戸の小石川の、松倉屋勘右衛門の別邸の前で、弦四郎に突然に切りかけられた時には、月こそあったが夜であったので、醍醐弦四郎の顔や姿を、ハッキリと見ることは出来なかった。

で、今、こうやって邂逅った時にも、早速には逞しいこの武士が、醍醐弦四郎であることは気がつかなかった。

しかし一方弦四郎の方では、いうところの競争相手として、茅野雄の身分から屋敷から顔や姿までも調べて置いたらしい。