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しょうがいのかきね
生涯の垣根
室生 犀星
「新潮」1953(昭和28)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,267 字 · 22 页
彼の好みのまま、永年この垣根ばかり作らせていた。ただ、黒竹の小枝の揃え方のいかんによって垣を美しくも、みにくくもさせていた。
翌日の夕方、民さんは村さんと一緒に仕事帰りに来たが、民さんの背後に若い男が一人つれ立ち、彼をみるとていねいにお辞儀をした。彼はこの若者を見たことがない、民さんは無沙汰をわび、仕事を出してもらえた礼をいった。ところで大体どれくらい費るか、損のないように予算を話してくれというと、民さんは、ええと、胡麻穂が一把二百五十円とすると二十把はいるし、青竹は十本束で幾ら幾らになり、棕梠縄は二十束と見ていくらいくらになります、それに手間代だが職人十五人かかるとすると、それがこれこれになるといって、すぐ埒の行く民さんらしい即答の妙を現わしたが、手間代なぞどっちに廻っても自身のものだからと、かれらしい大雑把な言い方で二万円くらいかかるでしょうといった。せっかくの仕事だから後でお腹のいたむような請け方はするなと、彼は注意して言った。仕事は綺麗に出していただいたのであるから、あとも綺麗にしますと、彼は感激していい、きゅうにうしろを振り返って例の若い男を彼に引き合せた。