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でんえんじょうちょうあり

田園情調あり

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,319 字 · 19 页

青空文庫

「水町君、君だけ一寸残ってくれ給え」

と命じるように言った。

「何か用か?」

「うむ」

水町君は秋ちゃんを見送って座敷へ戻った。もとの席に坐って、

「何だい? 君」

と訊いた時、伊達君が厭に角張った態度をしているのに気がついた。

「新ちゃん、君と僕は子供の時からの附き合いだが、君は僕の目を節穴だと思っているのかい?」

「何だい? 藪から棒に」

「秋ちゃんとの関係を話し給え。何なら一臂の力を貸してやる」

水町君は逐一告白して、宜しく頼み入った。何れはと思っていたが、切っかけがつかなかったので申訳なかったとあやまった。

「よし。引受ける。しかし条件がある」

「何でも果す。言うことをきく」

「実は僕も今帰った藤岡の朝子さんを貰いたくて、お互に理解がついているんだけれど、親同志反りが合わないから、言い出し兼ねている。君のお父さんを煩わしたいんだ。これは似たり寄ったりの格式だから、然るべき人が間に入って話してくれゝば何とかなる」

「引受けた」

「僕も引受けた」

「ハッハヽヽ」

「何だ?」

「これならあんなに下から出るにも及ばなかった」

(昭和二十七年六月、キング)