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でんえんじょうちょうあり

田園情調あり

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,319 字 · 19 页

青空文庫

文学談話会

「つまらないことを気にしなさんな」

「イロ/\と有難うございました」

「どうぞお先に、僕はのろいから」

「それじゃ失敬します」

と小森君は一礼して自転車に飛び乗った。

文学談話会

第三日曜の晩で、文学談話会の例会が伊達君のところで催される。伊達君は会長でもあり、会場主でもある。このところ久しく欠席を続けていた水町君がイの一番に顔を出したので、

「やあ。珍らしいね。道理で雨が降っている」

と打ち興じた。

「悉皆御無沙汰してしまった」

「よく来てくれた。この頃は秋風落莫だ」

「入りが悪いかい?」

「うむ。この前は二人きりさ。僕を入れて三人だ。今に僕一人になってしまうだろう」

「僕もこれから発心する。少し感ずるところがあったから」

「月二回は負担が重過ぎるんじゃなかろうか?」

「そんなことはないだろう。三回でもいゝと思う」

「大変な意気込みだね」

「必要を感じたんだよ。毎日帳簿と首っ引きで銭勘定ばかりしていると、元来の俗物がマス/\俗化してしまう」

「実務家も時に空想の世界に遊ぶ必要は確かにあるね」

話しているところへ玄関で案内を求める声が聞えた。

「誰か来たよ。お客さんだろう。会員なら直ぐに上って来るから」