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でんえんじょうちょうあり

田園情調あり

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,319 字 · 19 页

青空文庫

同舟の客

「それだから筋が分らなくなるのよ。拙いばかりじゃないでしょう」

「上の空で聞いているんだからね」

「私、悪いと思ったわ」

「決して善いことじゃない。親友を欺いているんだから、気が咎めるよ。寧ろ直ぐに打ち明けて頼む方がいゝかも知れない」

「そうして下さいよ」

「切っかけがつくまで待つさ。伊達君もあれだけの恋愛小説を書くんだから、その中に察して何とか言うだろう」

「待っている方が見識がある?」

「秋ちゃんも皮肉だな」

「オホヽヽヽ」

「真暗だから丁度いゝね」

「何が?」

「誰に会っても分らないから」

「雨が降っていないと、もっと歩くんですけれど」

同舟の客

次の例会には秋ちゃんが先で、水町君が一足後れて着いた。又二人きりで朗読を聞かされるのかと思っていたら、秋ちゃんよりも一級上だった藤岡の朝子さんが来た。とても綺麗な人で村の評判になっているけれど、家が好いからだと秋ちゃんは高をくゝって驚かない。それから神保君と惣夫さんが現れて、かなりの大入りだった。惣夫さんは農大出身で、もう細君がある。一番の年長だから、惣夫さん惣夫さんと重きを置かれる。

「惣夫さん、何かありませんか?」

と会長の伊達君が敬意を表した。