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きけいのてんにょ
畸形の天女
江戸川 乱歩
「宝石 第八巻第十一号」1953(昭和28)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,893 字 · 35 页
そして、大がかりな捜査がはじまれば、宮城圭助が絶対に安全だとは言い切れない。ふみ子への嫌疑はどんなことがあっても、防がなければならぬ。
松永はあわただしく頭を働かせて、古来行なわれた死体隠匿のあらゆる方法を思い出してみた。しかし、どれも、この場合実行のできないものばかりだった。結局、最も古い最も平凡な手段をとるほかなかった。
「きみ、鍬とスコップかシャベルがほしいんだが、この近くにないだろうか。借りるんじゃない。盗み出すんだよ。盗み出せるようなところはない?」
「死体を埋めるの?」
「ウン、この畳の下へ埋めるんだ。そうすれば、当分気づかれる心配はない」
ふみ子は、しばらく考えていたが、「あるわ」と言った。
「そこまで一丁もないわ。生垣のあるうちよ。いつも、縁側のそとの戸袋のところに、スコップや鍬が立てかけてある。そこのおじさん菜園を作っているの。生垣のこわれたところがあるから、はいるのわけないわ」
「そのうちに犬はいないか」
「いないわ」
「じゃあ、そこへ行こう。まだ寝てないだろうな」
「大丈夫よ。縁側の方はもう戸がしまってると思うわ」
ふたりは死体をそのままにして、空き家を出た。