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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

「旦那方」私は立った儘で云った。「金貨が落ちていますよ。ホラ、そこと、もう一つ、こっちにも……」

「ナニ、金貨が落ちている?」

「本当だ……」

刑事たちは、屍体から眼を放すと、地面を嗅ぐようにして、路面を匍いまわった。同じような、三つの金貨が拾いあげられた。一つは屍体の伸ばした右手から一尺ほど前方に、もう一つは、消えている街灯の根っこに、それから最後の一つは、倉庫のような荒れ果てた建物の直ぐ傍に……。

「沢山の金貨だ。これは一体、どういうのだろうな」

「この金貨と、仙太殺害とはどんな関係があるのだろう。それからあの金塊事件とは……」

刑事たちは、次々に出てくる疑問を、どこから解いたものかと、たいへん当惑している風だった。

「旦那方。金貨はまだまだ出てきますぜ」

と、私は仙太のズボンの右ポケットから、裸のままの貨幣を掴みだした。銅貨や銀貨の中に交って、更にピカピカ光る五枚の金貨が現れた。

「おい、余計なことをするナ」と折井刑事は一寸狼狽の色を見せて呶鳴ったが「もう無いか、金貨は……」と、息せきこんだ。

「どれどれ」と代って山城刑事が、ポケットというポケットに手をつきこんだが、その後は金貨が出てこなかった。