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はっくつしたびじょ

発掘した美女

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页

青空文庫

まだ村人も底をきわめた者がないというホラ穴である。ようやく腹這いになってくぐりぬけると、暗黒の広間へでる。そこを登って行くと、だんだんせまく、廊下のようになり、また腹這いになってくぐることになる。その向うはまた広間らしく、水の流れの音がきこえるが、二十三貫五百の巨体はここをくぐることができないのである。

「もう、ちょッと行ってみたいわ。行っていいこと」

「行ってらッしゃい」

梅玉堂を暗黒の廊下に置き残し、お握りジイサンと初音サンは懐中電燈をたよりに石の彼方の広間へと消えこんだ。梅玉堂は完全なる暗黒世界でまたしても幻想に悩まされた。彼女の懐中電燈の電池がつきて、道を失って戻れなくなるのではないか。そのときは自分はこのままこの場所でミイラになろうと考えた。しかし、次第に腹が減ってきたりしたときに、あくまでここに踏みとどまってミイラになる覚悟があるかということを疑った。二十三貫五百の巨体が息をひきとってミイラになるまでには少くとも二ヵ月ぐらいは虫の息でいなければならないだろう。辛いことだと考えた。初音サンには悪いけれども、ここでミイラになれそうもないというのが悲しい幻想の結論であった。