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しろいみち

白い道

徳永 直

「新潮」1948(昭和23)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,169 字 · 36 页

青空文庫

第一に高島が有名でないこと、次に高島がボルだということからであった。

「おあがんなさい」

深水の嫁さんがしきものをだしてくれた。うなずきながら、足首までしろくなったじぶんの足下をみていると、長野がいつもの大阪弁まじりで、秋にある、熊本市の市会議員選挙のことをしゃべっている。深水はからだをのりだすようにして、

「そりゃええ、パトロンが出来たなら、鬼に金棒さ、うん――」

ゆあがりの胸をひろげて、うちわを大げさにうごかしている。頭髪にチックをつけている深水は、新婚の女房も意識にいれてるふうで、

「――わしも応援するよ、普選になればわれわれ熊連は市会議員でも代議士でも、ドンドンださんといかん」

いいながら、こんどは三吉を仲間にいれようとする。

「君ァどうかね? え、わしがパトロンをめっけてやってもええが」

三吉は早くかえらねばならぬと思っている。専売局の截刻工である深水は、かねてから市会議員などになりたがっていた。しかしまだ印刷工組合に小野鉄次郎がいたころは、彼にしろ長野にしろ、こんなに露骨にはいわない筈であった。

「高坂が準備してるいうやないか?」

こんどは長野が三吉をのぞきこんだ。