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しろいくも

白い雲

小川 未明

「お話の木」1937(昭和12)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,755 字 · 16 页

青空文庫

太い繩で、鉄槌を引き上げて、打ち落とすたびに、トーン、トーンというめり込むような響きが、あたりの空気を震動して、遠くへ木霊していました。ときどき、思い出したように、ゴーッ、ゴーッと叫びを上げて、トロッコが幾台となくつづいて、小石を満載してきました。これを工事場へ開けると、ふたたび、あちらへ引き返していくのでした。

「あっちに、まだ割った石がたくさん積んであるのだよ。」

西山は、先頭に立って、草原の方へ突進しました。なるほど、トロッコの通るレールから、そう離れていないが、工事場からはかなり距たった草原の中に、石の破片が、白い小山のごとく積み重ねてありました。知らない子供が二、三人、先にいって、熱心に一つ、一つ、石をより分けている姿が見えたのです。

「石を取ってもしかられない?」と、敏ちゃんが、ききました。

「この大きいのは、一つだって重くて持ってはいかれないさ。ちっとばかり、欠く分なら、かまわないだろう。」と、西山が、答えました。

「しかられないかなあ。」と、義ちゃんは、考えながら、トロッコの通るたびに、線路の方を見ました。

「怒ったら、逃げればいいや。」

西山は、そういって、もう石の丘へ登っていました。