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しろいくも
白い雲
小川 未明
「お話の木」1937(昭和12)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,755 字 · 16 页
五
五
突然「ブーウ。」と、長いうなり声をたて、トラックが、原っぱの中へ入ってきました。石の破片を運んできたのです。
「きたっ!」といって、みんなは、逃げ出すような身構えをしたけれど、もう逃げ出すすきがなかった。はや、トラックは、目の前にきて止まりました。止まるといっしょに、ぱっと三人の男が、自動車の上から飛び降りました。そのうち、一人の男が、敏ちゃんのそばへいって、手もとをのぞき込んで、
「どんな石を探しているんだね。」と、ききました。そのやさしみのある質問に、みんなは、ちょっと意外な感じがしました。
「方解石を取っていたのだ。」
敏ちゃんは、正直に答えたのです。
「学校の理科で、習っているんだな。」と、その男は日に焼けた黒い顔に、白い歯を見せて笑っていました。
「おじさん、この石はどこからくるの?」と、敏ちゃんが、ききました。
「埼玉や、茨城の方からくるんだ。大きな石を機械にかけて、こんなに細かにして、電車道や、河川工事に使うのさ。」と、その男は、答えました。
これをきくと、敏ちゃんは、なんとなく石の故郷がなつかしい気がして、思わず、大空の果てをながめたのです。