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ひゃくしょうのゆめ
百姓の夢
小川 未明
「女性日本人 4巻1号」1923(大正12)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,278 字 · 15 页
あちらにいったり、こちらにきたりして、自分の気にいった馬や、牛があると、その値段を百姓は聞いていました。そして、
「高いなあ、とても俺には買われねえ。」と、彼は、頭をかしげていったりしました。
「おまえさん、よくいままで、こんな年をとった牛を持っていなさったものだ。だれも、こんな牛に、いくらおまえさんが金をつけたって喜んで交換するものはあるめえ。」と、黄銅のきせるをくわえて、すぱすぱたばこをすいながら、さげすむようにいった博労もありました。
そんなときは、百姓は、振り向いて後ろに首垂れている、自分の牛をにくにくしげににらみました。
「そんなざまをしているから、俺まで、こうしてばかにされるでねえか。」と、百姓は怒っていいました。
また、彼は、ほかの場所へいって、一頭の若い牛を指さしながら、いくらお金を自分のつれてきた牛につけたら、換えてくれるかと聞いていました。
その博労は、もっと、前の男よりも冷淡でありました。
「おまえさん、ここにたくさん牛もいるけれど、こんなにおいぼれている牛はなかろうぜ。」と答えたぎりで、てんで取り合いませんでした。
しかたなく、百姓は、年とった牛を引きながら、あちらこちらと迷っていました。