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ひゃくしょうのゆめ
百姓の夢
小川 未明
「女性日本人 4巻1号」1923(大正12)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,278 字 · 15 页
しまいには、もうどんな牛でも、馬でもいいから、この牛と交換したいものだ。自分の牛より、よくない牛や、馬は、一頭だって、ここにはいないだろうと思ったほど、自分の牛がつまらなく思われたのであります。
日が暮れかかると、いつのまにか、市場に集まっていた百姓たちの影は散ってしまいました。その人たちの中には、持ってきた金より、牛や、馬の値が高いので買わなくて帰ったものもあったが、たいていは、欲しいと思った牛や、馬を買って、引いていったのであります。
独り、この百姓だけは、まだ、まごまごしていました。そして、最後に、もう一人の博労に掛け合っていました。
「俺は、この若い馬が欲しいのだが、この牛に、いくら金を打ったら換えてくれるか?」と、百姓はいいました。
その博労は、百姓よりも年をとっていました。そして、おとなしそうな人でありました。しみじみと、百姓と、うしろに引かれてきた牛とをながめていましたが、
「いま換えたのでは、両方で損がゆく。金さえたくさんつけてもらえば、換えないこともないが、この冬、うんとまぐさを食わして休ませておやんなさい。そうすれば、まだ来年も働かされる。